島田、藤枝の今昔

島田で子どもたちの支援を行なう人と、藤枝の名所をレポート。

「 で愛、ふれ愛、ささえ愛 」

昨年、島田市の東町公会堂「ひなた」に、子どもたちの支援を目的とした「子ども食堂 あい愛カフェ」がオープンした。月一回、対象は高校生までで、テイクアウトのカレー弁当と茶道や将棋、手芸、ミニ生け花などが無料で提供、体験できる。主催するのは、9年前からベビーマッサージやアレルギー対応の料理教室といった子育て支援を行なっている「あい愛サロンの会」だ。「少子化、核家族化が進む中で、今回のコロナ禍が重なり、子どもたちの食生活やコミュニケーションに大きな影響が出ている。食育支援を通じて、子どもたちの心が休まる居場所、楽しい体験ができ元気になれる場所を作りたい」と、会長の池谷愛子さんは話してくれた。スタッフは、学生から高齢者まで幅広く、池谷さんの想いに賛同した人たちばかりだ。また、多くの地域の人や団体にも支えられているのだという。実際、弁当の食材の多くは提供されたもので、米も借りた田んぼで子どもたちが作ったものだそうだ。「人と地域、多世代が交流する事で刺激しあい、地域の人たちにも元気になってほしい」と言う。次回は1月10日の11時から開催予定だ。優しいスタッフと楽しい体験が待っている場所へ、出かけてみてはいかがだろうか。

大池があったとされる水上周辺

水上の大池と六地蔵の話

昔、烏帽子山から旧東海道の近くまで広がる大池があったそうだ。池には悪龍が棲んでいて、里や旅人に危害を加えていたので、旅の途中の宇陀上人(うだしょうにん)にお願いして龍を退治してもらうことにした。上人が池の周りに護摩壇(ごまだん)を築いて、祈祷をすると龍は昇天して姿を消し、池の水もかれて豊かな大地となったという話である。名物の「染飯(そめいい)」の三角の形は、この龍のウロコをかたどったものとも言われている。また、現在は草地となっている鏡ヶ池(かかみがいけ)は大池の名残で、その少し東にある鏡池堂(きょうちどう)には、池から出現したと伝わる六地蔵が安置されているそうだ。開帳は33年ごとで、次回見られるのは2047年になるという。

瀬戸踏切付近

狭軌線最高時速

JR東海道線の藤枝駅から六合駅周辺には、見晴らしのいい直線がある。この場所は新幹線の誕生に大きく関わった場所でもあるのだ。1959年、新幹線開業に向けた高速度試験が藤枝から金谷間の上り線で行なわれ、藤枝の瀬戸踏切付近にて当時の狭軌線世界最高時速163kmを記録した。翌年には、一里山踏切付近の約1.3kmに、レールの幅を広くした第三線を北側に敷設。新幹線で採用する線路や架線の構造のためのデータ取集が行なわれ、試験中に最高時速175kmを記録している。現在の上り線は、この試験路線を転用していて、上下線の間に旧上り線があったそうだ。六合駅の北口には記念碑があり、染飯伝承館には当時使われたレールなどが展示してあるので、訪ねてみてはいかがだろうか。