駒形から安倍川へ

商店街を歩くと目に入るのぼり、道を一歩入ったところで見つけた像や史跡を調査してきました。

STORY 01 風光る

静岡県地震防災センターの敷地内に、椅子から立ち上がろうとしているような女性の像がある。静岡県出身の彫刻家、細谷泰茲(ほそややすじ)さんの作品「風光る」である。「公共施設に彫刻を置いた方が県民の文化芸術が高まる」との想いから、平成元年の開館当初に設置されたのだという。像は初夏を表現しており、さわやかな風を受けている様子を表しているとのことだった。職員の方は、遠くを見ている姿から、希望や前向きな気持ちを表現しているようにも感じたという。場所柄からか、防災のことを考え行動に移そうとしているようにも見える。さまざまな見え方があっていいという細谷さん。あなたにはどのように見えるだろうか。

STORY 02 コマカツ!

駒形通りを歩いていると、所々で水色ののぼりが目に入ってくる。駒形通りの活性化を目的に発足したプロジェクト「コマカツ」ののぼりだ。参加店で使える商品券の発行や、HPで参加店を紹介するなどの取り組みを行なっている。元々は、「静岡駅から安倍川花火に行く人のストリートとして盛り上げたい」という想いからスタートしたという。コロナ禍や雨で花火が中止になってしまい、メインとなる活動はまだできていないが、「今年こそは!」と会長の黒田さんは意気込みを見せてくれた。思わず入ってみたくなる店が並ぶ駒形通り、花火とコマカツが合わさると、さらに楽しいことになりそうだ。

https://www.komakatsu.com

STORY 03 駿府キリシタン聖堂

静岡県地震防災センターの横の安倍川町公園には、かつてキリシタンの教会があったという。駿府にキリシタンの信仰がいつ入って来たかは明らかではないが、資料に登場するのは1607年、宣教師パジェス一行が駿府城で家康に拝謁した時である。そして、4年後の1611年に、家康の重臣である本多正純の家臣、岡本大八(洗礼名パウロ)の名義で安倍川町に念願の教会が完成した。しかし、その翌年に贈賄や家康の朱印状の偽装などをした岡本大八事件が発覚する。事件の関係者のほとんどがキリシタンであったこともあり、幕府は同年、幕府直轄地にキリスト教禁教令を発布、完成から1年で安倍川町の教会は取り壊されることとなったという。

STORY 04 出世大黒天

駒形通4丁目にある法栄寺に、少し変わった大黒天が鎮座している。大黒天と聞くと、俵の上でにこやかな表情をしているイメージがあるが、法栄寺のものは険しい表情をしている。大黒天はヒンドゥー教のシヴァ神の化身で、富や五穀豊穣のほかに軍神としての側面もあったことから、鎌倉時代までは憤怒の相をしたものが一般的だったという。出土した年代は不明だが、東京の谷中で発見され、唐から渡来したものではないかという話だった。現在は、境内に模したものが祀られていて、その姿を垣間見ることができる。また、分身を家に安置し、毎日炊く米の上分を供養し、つつしみ敬うと富も地位も与えてくれるといわれているという。