ここから吹く、新しい風

小瀬戸で文化と歴史をつなぐもの、清沢へたどり着いた人たちを取材しました。

1.壱の石の矢穴 2.重ね富士 3.トミサク石からの景色

文化と歴史を未来につなぐ

小瀬戸には新東名が通り、スマートICができたため交通の便が良くなった反面、昔からの景色がなくなっている部分もあるという。その中で2018年、地域住民を中心に「小瀬戸の文化と歴史を未来につなぐ会」が発足した。主な活動は、石切場、小瀬戸城址の保存や整備だ。1970年に発見された小瀬戸下沢奥の石切場は、江戸中期を中心に駿府城の改修などに使う石垣の石材が切り出された場所で、切り出すための矢穴の列を間近で見ることができる。一時期、山が荒れてしまい石切場へたどり着くことが困難だったが、つなぐ会の活動により「壱の石」と「トミサク石」への道が整備された。また、子どもたちが大きくなったら花見ができるようにと、毎年春に子どもたちを招き「さくらの植樹会」を行なっている。今年は、申込制で3月6日に開催を予定。詳しくは、つなぐ会のFacebookページをチェックしてみて。
小瀬戸城は南北朝時代の山城で、後醍醐天皇の息子や孫が滞在していたという言い伝えもある。現在の静岡SA付近を「御所ノ谷」、その向かいを「若宮原」と呼ぶなど皇族に関係する地名も残っている。城跡は広場になっていて、晴れた日には富士山と竜爪山が重なって見える「重ね富士」を見ることができる。南藁科小の生徒が登ったときは、綺麗に見ることができ盛り上がったそうだ。また、江戸初期創祀の小瀬戸神社は、人気のパワースポット。暖かくなる季節、小瀬戸に出かけてみるのはいかがだろうか。

1.林さん一家 2.近くの藁科川で遊ぶ子どもたち 3.消防団の巡回

世界を周り、清沢へ

清沢地区の赤沢で、3年前から一棟貸しの別荘を営む林夫妻。2人とも旅が好きで、バックパッカーとして海外を旅していた中で出会い、石川県に住んでいたが、新婚旅行で世界一周の旅をした後、住みやすさを考え静岡に住むことを決めたそうだ。初めは清水で民泊施設を経営しており、出産を機に離れていたが「もう一度、宿をやりたい」と思い、市内問わず物件を探していたところ、赤沢にたどり着いたのだという。物件が良かったこともあるが、見学に来た時に地域の人たちが気さくに声をかけてくれたのも決め手になった。赤沢の集落は仲が良く、明るくいい人たちばかりだという。子どもを連れて遊びに行くと、お菓子を用意して待っていてくれたり、庭にプールを出して遊ばせてくれたりと、子どもたちも伸び伸びと育っているそうだ。
夫の希(のぞむ)さんは、消防団や地域で困ったことがあれば駆けつける「清沢まもり隊」のメンバーでもある。力仕事も多いため、高齢化が進む中で若い力は貴重だ。妻の里江子(りえこ)さんは、今は子育てがあるため参加できていないが、清沢レモンの特産化に尽力している「清沢レモン部」に参加するのを楽しみにしているという。「2人は積極的に地域と関わっているから、自分たちとより良い関係になっていると思う」と消防団仲間の尾崎さんは話してくれた。それに加え、地元の人の良さが根底にあってこその関係なのだろうと、楽しそうに話している姿を見て感じた。